
江戸時代の延宝5年(1677)に刊行された日本の怪談集『諸国百物語』
(注1.)の巻之一の最終話(二十)に「尼が崎伝左衛門湯治してばけ物にあひし事」という話が記されている。
ある時、摂州尼崎(現 兵庫県尼崎市)の伝左衛門という者が有馬温泉へ湯治に出掛けた。
湯に浸かっていたところ、何処からともなく若い美しい女が訪れ、「私も湯に入れてください」と伝左衛門に声をかけてきた。
女という事もあり、伝左衛門は気を許してこの女と共に湯に浸かっていた。
すると、この女が「お背中を流しましょう」と言ってきた。
折角美女がこのように言ってくれているのだ、断る理由も無いことから伝左衛門はこの女に背中を流してもらうことにした。
女に背中を流してもらっていると、これが何とも快く、いつしか伝左衛門は夢心地となっていた。
気が付くと伝左衛門の背中は肉を全て削ぎ落とされ骨ばかりにされていた。
女の姿は消え失せてどこにもなかった。
伝承地 : 兵庫県神戸市北区有馬町 有馬温泉
注1. 『諸国百物語』 : 延宝5年(1677)4月に刊行された日本の怪談集。全5巻、各巻20話構成。著者、編者ともに不詳。
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