と う じ に き た て ん ぐ
湯治に来た天狗


有馬温泉の日本第一神霊泉の碑 藤太郎という鉄砲の名人(注1.)が領主より賜った金銀の弾丸で怪鳥(美しい鳥であったともいう)を撃った。
藤太郎の放った弾は怪鳥の脚に当たったが、仕留めることは出来ず怪鳥はいずこへともなく消え去った。
怪鳥の祟りであろうか、その後、藤太郎は病を患ってしまい治らず苦しんでいた。そこで湯治のため有馬温泉を訪れた。
宿で隣の部屋の客と親しくなり、いつしか話を交わすようになっていた。
隣の部屋の客が言うには、足を傷めたため、その治療にと有馬温泉を訪れているとのことだった。
藤太郎は、怪鳥を撃ったせいで病を患ったことを話すと、突然客はかつて藤太郎が撃った怪鳥へと姿を変え、さらにその姿は大天狗となった。
怪鳥の正体は箕面山(大阪府箕面市)の大天狗だった。
大天狗は藤太郎を睨み付けるといずこへか飛び去って行った。
その数日後、藤太郎は死んでしまった。

摂津箕面山には、後に役小角(えんのおづぬ)に仕えた前鬼、後鬼という人を喰らう鬼の夫婦が棲んでいたという。
前鬼は後に天狗になったという話もあり、日本八大天狗や四十八天狗の一尊である大峰山前鬼坊(那智滝本前鬼坊)になったともされている。箕面山の大天狗が前鬼であったのか否かは定かではないが興味深い話である。
(前鬼、後鬼の棲家については、生駒山地や須走村(現 静岡県駿東郡小山町)という話もある。)

伝承地 : 兵庫県神戸市北区有馬町 有馬温泉

注1. 國友城(滋賀県長浜市国友町)主野村兵庫頭直隆の娘婿、國友藤太郎(富岡藤太郎)のことか?
藤太郎は元亀2年(1571)5月には多田幸治山(長浜市田村町)付近の琵琶湖上から豊臣秀吉を狙撃。この時、弾が秀吉に当たることはなかった。
元亀4年(1573)の國友河原の合戦では、織田信長に寝返った宮部継潤が攻め寄せてきた時にこれを銃撃、負傷させている。

参考資料 : 国際日本文化研究センター. ”データベース検索ページ 怪鳥,天狗”.  怪異・妖怪伝承データベース. https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/0690072.html, (参照 2023-01-17).

#妖怪 #天狗 #鬼 #怪鳥 #有馬温泉 #大阪府 #静岡県