兵庫県神崎郡、恒屋川の傍に蛇穴神社(じゃけつじんじゃ)という変わった名前の神社がある。祭神は市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)。市杵嶋姫命は安芸厳島神社の御祭神として有名で、素戔嗚尊と天照大神が高天原で剣玉の誓約(うけひ)を行った時に現れた神と伝え、島に斎(いつ)く神という名が示すように海上の守護神として崇められている。本地垂迹説(注1.)で弁財天となり、さらに蛇身へと変遷していったと伝えられる。
その昔、神崎郡を貫くように流れる市川は今の神社の在る辺りの東西を流れ、そこに大きな中洲があった。その中洲には大きな穴があり、そこには大蛇が棲んでいると言い伝えられていた。それゆえ、いつしかこの中洲は「蛇穴の森」と呼ばれるようになり、人々の畏敬の対象となっていた。
境内には、「龍体の松」(一名「臥龍の松」)と呼ばれる樹齢400年を越える老松が在ったが、残念なことに昭和53年(1978)9月、松喰虫の被害により枯死してしまった。 余談になるが奈良県御所市に「蛇穴」と書いて「サラギ」と読む地名がある。それについて、柳田國男氏は著書『和州地名談』の中で、「サラギ」もしく「サラキ」とは、古くは皿状の器等を意味する言葉で、古代、粘土を紐状にして巻いて(積み上げて)器を作る方法が、蛇がとぐろを巻いている姿に似ていることから「蛇穴」の字を当てたのではないかと解説している。
兵庫県佐用郡佐用町三原の藤尾山(標高310m、三原牧場敷地内)の頂には蛇穴神社の分社が祀られている。
2022.10.07 一部追記 #大蛇 #蛇 #神社 #市杵嶋姫命 #赤えい #奈良県 |