な ん き ん ば か の か い か
南京墓の怪火


鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「墓の火」 大正6年(1917)7月27日の神戸新聞に『南京墓の怪火』という記事が載っている。
南京墓とは華僑(国外に在住する中国の商人)の墓地で、現在の神戸市中山手通8丁目にあった。
当時の新聞によると、同月25日の夜8時頃のこと、南京墓の方で青い火がゆらゆらと燃えている。それは、一つ、二つ、三つと次々に大きなもの、小さなものが風に揺られふわりふわりと暗闇を漂っている。
それを見た付近の住民は大騒ぎ。人魂が出たと騒ぎながら、押し寄せた群衆が山をなしてこの怪しい火を遠巻きに見ている。しかし、色々と取沙汰してはみるものの、誰一人としてこの怪しい火に近寄って正体を確かめようとする者は居ない。
そこへ、通報を受け宇治川派出所から巡査がやってきた。
なるほど、青い火が南京墓の奥の方、墓石の陰からふわりふわりと飛んでいる。巡査も不気味ではあったが恐る恐る近寄って正体を確かめる事にした。
すると、そこには誰かが捨てた黄燐マッチの箱の破片が四つ五つ打ち捨てられていて、怪火の正体はこれが自然発火したものという事がわかった。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
現在の赤燐を使用したマッチではなく、黄燐を使用したマッチが一般的であった時代の話である。
(画像は鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「墓の火」)

神戸新聞 大正六年七月二十七日

伝承地 : 兵庫県神戸市中山手8丁目付近

参考資料 : 湯本豪一編. 地方発 明治妖怪ニュース. 柏書房株式会社, 2001

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