ね こ い け
猫 池


猫 池 貯水量255,000m3、満水面積8.5ha。今も満々と水を湛えるこの池は、享禄4年(1531)、当地の郷士、沼田若九郎、田代六郎右衛門、花房孫之春らが村人と協力し、南の谷あいを開発して造ったものと伝えれる。
近郷に類を見ないこの池は、上西条、中西条の両村に分流し、田畑を潤し村々に大きな恩恵を与えた反面、台風が訪れると大雨により堤は決壊し、田畑や家が押し流されるということもあった。
そこで、なんとか堤が切れないようには出来ないものかと皆で思案した結果、人柱を立ててはどうかという意見もあった。しかし、それを申し出る者も無く、さるお告げにより人柱として猫8匹がこの堤に埋められることとなった。
そして、当時としては大掛りな築堤工事が終った。
以来、四百数十年の永い歳月の間に幾度と無く改修も行われたこともあり、堤防が切れる事は無くなったという。

猫池傍らの小祠 いつしかこの池は、人柱として埋められた8匹の猫を偲んで「猫池」と呼ばれるようになったという。また、満々と水を湛えるその池の姿が、あたかも猫が横たわっているかのように見えることからこの名前がついたともいう。
池の名前の由来については違った説話もある。それは、間引きが行われていた時代の悲しい話である。
その頃、この池の端には、よく生まれて間も無い赤子が置き去りにされていた。そして、風に乗って聞こえてくるその赤子の泣く声がまるで猫の鳴き声のように聞こえたことから、この池が「猫池」と呼ばれるようになったのだとも伝えている。

今も池の傍らには雑木に埋もれるようにして小さな祠がお祀りしてあり、その少し上の道路に面したところには、昭和54年(1979)に建てられた「猫池改修記念碑」があり、この池の由来が記されている。

余談では有るが、平成11年(1999)の終り頃、この池に2台の自動車が沈んでいることが確認され、引き上げたところ1台には自殺と思われる遺体があったということである。

猫 池 : 兵庫県加古川市八幡町上西条

参考資料 : 猫池改修記念碑(昭和54年 設置)
近藤様よりお聞きした話
宮内様よりお聞きした話

補 考 : H14.09.06
池の傍で泣く赤子の声―で思い出した事があるので補足までに書いておく。
水木しげる氏の著書『水木しげるの妖怪文庫 一』(河出文庫 1984)や『水木しげる 妖怪100物語』(小学館 2005)等には「川赤子」という妖怪が描かれている。
この妖怪は池や沼で赤ん坊の声で泣く妖怪で、赤ん坊が溺れているのではないかと思い声のする方に駆けて行くと、今度は反対の方から声がする。慌てて声のする方に取って返すと、また先程の所から泣き声がする。そうこうしているうちに大抵の者は足を踏み外し池や沼に落ちてずぶ濡れになる。そうすると、先程まで火のついたように泣いていた赤ん坊の声はぴたりとおさまる。
これが、川赤子と呼ばれる妖怪の仕業で、池や沼の主とも、河童の類であろうとも言われる。
猫池の赤ん坊の泣き声もあるいはこの川赤子の類だったのかも知れない。

#人柱 #猫 #池 #川赤子