俗 信[器物]


器 物


■ 鉛 筆

・ 鉛筆を両端から削ると貧乏になる。

備考:
鉛筆の両端を削る削り方を「貧乏削り」という。この名前からこの様な俗信が生まれたと思われる。
「貧乏削り」という名称は経済的理由から複数本の鉛筆を持てない子供がこのような削り方をしたため「貧乏削り」と呼ばれるようになったとされる。



■ 傘

・ 家の中で傘を差すと運が開けない。
・ 家の中で傘を差すと大雨が降る。
・ 家の中で傘を差すと鼠が荒れる。
・ 傘を燃やすと気違いになる。(兵庫県赤穂地方)

備考:
ヨーロッパ西部でも室内で傘を差す行為は縁起が悪いとされる。



■ 櫛

・ 落ちている櫛を拾ってはいけない。(祖母、母から聞いた話)

備考:
櫛は古来より神聖なもので魔除けの力があるものと信じられており、それを貸し借りしたり拾うということはよくないとされた。また「櫛=苦死」という語呂合わせから「苦死を拾う」と考えられ、櫛を拾うという事は不吉とされた。



■ 靴

・ 夜に新しい靴をおろしてはいけない。
どうしてもおろさなければいけない時は靴底にすみ(墨・炭)や唾を付けたり、「×」印を書いたり、わざと汚したりする。(祖母、母、靴屋さん ほか)(※1)
・ 脱いだ靴をきちんと揃えないと妖怪(お化け)が来る。

備考:
※1 昔は冠婚葬祭の時に新しい靴をおろすことが一般的で、夜に新しい靴をおろすという行為は葬儀や野辺送りを連想させるため縁起が悪いとされる。



■ 靴 下

・ 靴下を履いたまま寝ると親の死に目に会えない。
・ 靴下を履いたまま寝ると親が早死にする。
・ 靴下を履いたまま寝ると幽霊が足を摩(さす)りに来る。

備考:
亡くなった人に死装束として白足袋を履かせることから、死を連想させるため縁起が悪いとされる。
実際のところ、靴下を履いたまま寝ると熱がこもって足からの熱放出が妨げられ良い睡眠が得られなくなる、熱がこもって水虫になりやすい、靴下の締め付けにより血行不良になるなどの理由で靴下を履いたまま寝ることは健康上良くないと言われている。



■ ざる・かご

・ ざるやかごを頭に被ると背が伸びない。(祖母、母から聞いた話)
・ ざるやかごを被ると背が縮む。

備考:
ざるやかごは調理に使用したり、食べ物を入れたりといった用途で使われることが多いため、それを頭に被るのは衛生的に良くないと言う理由と行儀が悪いという理由からこのように言われた。
ざるやかご以外にもバケツや洗面器、レジ袋(近年言われ始めた?)なども同様に言われることがあるらしい。レジ袋などは窒息の危険があるからと思われる。



■ 表 札

・ 人の家の表札を集める(盗む)と試験に合格する。

備考:
表札の数を明示していない話もあるが四軒の表札を集めるという話もあり、それは「四軒盗る」(しけんとる)を「試験通る」(しけんとおる)にかけたものだといわれている。



■ 帽 子

・ 家(部屋)の中で帽子をかぶると禿げる。

備考:
室内で帽子を被ることはマナー違反とされる。また、温かい室内で帽子を被ると頭皮が蒸れ雑菌が繁殖しやすくなり、この様な頭皮環境では抜け毛の発生リスクが高まる。



■ 枕

・ 枕を跨いではいけない。
・ 枕を跨ぐと出世しない。
・ 枕を跨がれると(枕の持ち主が)出世できない。
・ 枕を踏んではいけない。
・ 枕を踏むと頭が悪くなる(バカになる)。
・ 枕を踏むことは自分の頭を踏むのと同じこと。
・ 枕を蹴ってはいけない。
・ 枕を足蹴にすると出世しない。
・ 枕を投げてはいけない。
・ 枕には神様が住んでいるから、大事にしないとばちが当たる。

備考:
古くは枕は「魂倉」(みたまくら)と呼ばれ、人の魂は眠っている間は肉体から離れ枕(魂倉)に入っていると考えられていたことによる。「みたまくら」が訛って「まくら」になったと言われる。
能の演目の一つ『枕慈童』(まくらじどう)では、中国の周の穆王の寵童、慈童が誤って穆王の枕を跨いだため酈縣山(れっけんざん、てっけんざん)に流罪となってしまったというくだりがある。







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