番町皿屋敷「お菊の皿」
(Dishes of Okiku from "Banchou Sara-yashiki".)


彦根伊井藩士、孕石(はらみいし)家の世継、政之進と侍女お菊は相思相愛の仲だったが、政之進には亡き親の取り決めた許婚がいた。
お菊は思案のあげく、政之進の本心を確かめようと家宝の皿十枚のうち一枚を故意に割ってしまった。
誠意を疑われ憤慨した政之進は、お菊の面前で残り九枚の皿を打ち割り、お菊を手打ちにしたという。
この皿は初代藩主伊井直政が関が原の戦いの功により徳川家康から拝領した中国古来の白磁の皿で、悲運の死を遂げたお菊の供養のためにお菊の母が寺に奉納したものと伝える。
現在は六枚だけが残る。


滋賀県 長久寺所蔵